鶏卵肉情報 進化するブランド

2023年12月25日号

◎(株)WABISUKE(京都府宇治市)

シリーズ進化するブランド197
あっさりとしたナチュラルな風味の「やどりぎ」
100%平飼い、non-GMOで安全と安心を


「先進国でもトップクラスの豊かさを誇る日本だから、生き物に対する考え方も前進させてほしい」という思いから、100%平飼いでブランド卵「やどりぎ プレーン」を生産している(株)WABISUKE(京都府宇治市、岡崇嗣社長)。

飼料価格が高騰する中でも、トウモロコシと大豆粕はnon-GMOでポストハーベストフリーのものを使用。動物性たんぱく質を極力取り除き、「余計なものを一切添加しない、より安心と安全を求められる方への卵」を目指し、「やどりぎ」はあっさりとしたナチュラルな風味の卵になっている。

あっさりした風味の「やどりぎ プレーン」に対し、「やどりぎ 濃厚絡み王」はアスタキサンチン成分を多く含むオキアミと天然のパプリカを配合し、カラーファン17以上という卵黄の赤みとコクを増している。「濃厚絡み王」のネーミングは「すきやきなどにつけて食べると、卵黄が全部肉に付いてしまうほど濃厚な卵」に由来している。



2023年11月25日号

◎(有)棚橋ファーム(岐阜県岐阜市)

シリーズ進化するブランド196
たまごかけご飯にうってつけの「醍醐卵」
FFCパイロゲン活性水などで鶏を健康に


ブランド卵「醍醐卵」を生産・販売している(有)棚橋ファーム(岐阜市、棚橋剛代表)は、棚橋氏の父である棚橋力氏が40年ほど前にスタート。卵アレルギーの子が医師から卵を食べるのを止められたことを悲しみ、「アレルギーの子でも食べられる卵を作りたい」という思いで醍醐卵の生産を開始したという。

飼料には岐阜県産の飼料用米をはじめ、non-GMOでポストハーベストフリーのトウモロコシ、EM菌、桧(ヒノキ)の炭、ニンニク、貝化石などを配合している。「EMは乳酸菌、酵母菌、放線菌、光合成菌などの微生物を80種類以上複合培養した液体で、桧の炭は鶏の腸内のEM菌の活動を助けるほか、臭気の軽減につながっている」(棚橋氏)。

飲水は地下水をFFC元始活水器に通したFFCパイロゲンセラミックス活性水を使用。その効果について、棚橋氏は「FFC導入後は鶏ふんや鶏舎内の臭気が軽減するなど鶏の健康につながり、卵も張りがあって美味しくなった」と話す。

「地元の方に卵を食べてもらいたい。地元を大事にしたい」という思いで始めた直売所は現在、岐阜市内に2カ所。醍醐卵、醍醐卵を使ったシフォンケーキやプリン、10種類以上のたまごかけご飯専用醤油のほか、お菓子、ジュース、野菜なども販売している。



2023年10月25日号

◎種子島夢まるGaRDeN(鹿児島県西之表市)

シリーズ進化するブランド195
安納芋を加えた発酵飼料の「夢まる自然卵」
平飼い、四方開放、牧草など「5つのソウル」


安納芋を加えた自家配合発酵飼料で育った「夢まる自然卵」は、EM酵母麩と米糠熟成の秘伝のソースに十数種類の素材を配合し、一日寝かせた自家配合発酵飼料を給与。ミントや四つ葉、よもぎやシソなどの薬草も配合している。

生産・販売する種子島夢まるGaRDeN(鹿児島県西之表市)の牛越紀幸代表は「農薬や肥料を撒いて無理して作らず、労力に見合った数の鶏しか飼わず、自然からの恵みを有り難くいただき、そして汚すことなく、また自然へと返す。その循環が成り立つ生産を生業として、精進して参ります」として、①平飼い鶏舎②四方開放③発酵飼料④毎日、牧草⑤観察、触れ合い、対話という「5つのソウル」で鶏を育てている。

サラリーマンだった牛越氏は「農家になっても慣行農法をするつもりはなかった」という。2018年に開業して以来、「生産量を上げるために農薬を撒くことが、自然になじんで自然と循環するとは思えない」として、「循環型自給農業の確立」を信念としている。

平飼いにすることで鶏たちが自由に動き回り体力がつくため、「病気はほとんどない」。鶏舎の壁はすべて金網の四方開放で、鶏本来の生命力を最大限に引き出す。EM酵母麩と米糠熟成の秘伝のソースをベースに、安納芋などを自家配合。鶏舎内の薬草や牧草などを毎日給与している。毎日2回の給餌の際に鶏を観察し、健康と卵の品質向上に努めている。さらに、鶏舎の横を流れる小川から水を引き込み、新鮮な山水を与えている。こうした環境から生まれる「夢まる自然卵」は、甘みの強い卵になっているという。



2023年9月25日号

◎東かがわ烏骨鶏ファーム(株)(香川県東かがわ市)
 TEL:0879-27-2528 https://ukokkei.kagawa.jp/

シリーズ進化するブランド194
超高級健康食材の「純粋種烏骨鶏卵」
豊富な栄養成分をバランスよく含有


東洋医学に不可欠で希少な薬用鶏として江戸時代に到来した純粋種の烏骨鶏は、中国では古来より薬用鶏として珍重されてきた。しかし、明治時代に西洋医学が定着すると薬用鶏としての利用が減少し、孵化率も産卵率も低いため商用として使われることはほとんどなくなっていった。日本では絶滅から救うため昭和17年に国の天然記念物に指定され、この純粋種烏骨鶏の遺伝子を今も守っているのが、東かがわ烏骨鶏ファーム(株)(香川県東かがわ市、菅原正安社長)が運営する「烏骨鶏の郷」だ。

菅原氏は「在来種に産卵率の高い鶏種を掛け合わせるのは地鶏の品種改良の考え方。私たちは外の血を入れずに在来種を守る」として、大学の協力を仰ぎながら自社で孵化事業も行っている。

烏骨鶏には白い羽の鶏と黒い羽の鶏があるが、同社の黒い羽の烏骨鶏は「体が大きく筋肉質で野性味があり、生命力の強さが卵の栄養価の高さにもつながっている。薬用鶏の烏骨鶏卵は、体内で合成することができない必須アミノ酸をバランス良く摂取できる、すべての食品の中で最も優れたスーパーフードといえるだろう」(菅原氏)。

菅原氏の父はがんで亡くなったが、「余命3カ月と宣告されてから毎日烏骨鶏卵を食べ続け、それから4年半も延命した」と、自身が体験した烏骨鶏の健康効果を広めたいと願っている。

飼料は季節と鶏の体調の変化に合わせて調整し、「烏骨鶏が生涯を通じて健康でいるために最も大切なのは飲水」として、天然の流水を与えることで生臭さがなく、卵黄も大きく、濃厚で甘みのある卵になっている。



2023年8月25日号

◎五島列島 大石養鶏場(長崎県五島市)
シリーズ進化するブランド193
「究極のアンチエイジング」たまご
「TOCO–tori EGG®」


マレーシアのヤシの実から抽出したトコトリエノールはほかのビタミンの約50倍という強い抗酸化力作用を持ち、錆びない体作りや肌の健康、美容の維持が期待され、ヒト用のサプリメントに使われている。また、抗がん作用、脳機能保護作用、動脈硬化改善作用などが研究され「スーパービタミンE」と呼ばれている。トコトリエノールはアスタキサンチンと同時摂取することでさらに抗酸化力がアップすることから、その両方を飼料に配合した「TOCO–tori EGG®」について、生産している五島列島 大石養鶏場(長崎県五島市)の竹内由香里代表は「究極のアンチエイジング」たまごだという。

「TOCO–tori EGG®」は100グラム当たりトコトリエノールが500 μg、アスタキサンチンが140 μg、ビタミンEが13.3 ミリグラムと機能性成分が豊富な一方、コレステロールが一般卵の400~500 ミリグラムに対して362 ミリグラムと低くなっている。20個入りで2万1600円と卵としては考えられない価格だが、「農学博士で日本学術振興会特別研究員(専門:免疫・がん領域)の梅田幸子先生との共同開発で、科学的な根拠をきちんと示した上で販売している」(竹内氏)。

完全受注生産で、飼料の切り替えから1カ月ほどかけてから発送する。

ベースとなる「五島の恵みたまご」は純国産鶏のもみじとさくらで、飼料に五島産レモングラスや規格外の茶葉などを配合しビタミンEが豊富な卵になっているほか、SDGsの一環として地元産の芋焼酎の絞り粕を給与したところ「食いも良く、鶏の健康にも役立っている」という。



2023年7月25日号

◎一般社団法人Agricola(北海道当別町)
シリーズ進化するブランド192
国産飼料100%の「オーガニックエッグ」
障がい者就労を支援、農と企業のコラボを


就労継続支援A型事業所の一般社団法人AgricolA(北海道当別町、水野智大代表)が運営するFarm Agricola(ファームアグリコラ)は、農業を通じて障がい者就労を支援している。

鶏がのびのび過ごせる環境、100%国産の安心安全の飼料(非遺伝子組み換え)、生産する障碍者や卵を食べて下さる方々など、卵を通じて多くの人が幸せを感じられる仕組みを重視した。

究極の卵「オーガニックエッグ」の飼料は100%国産で、配合はすべて手作業。有機小麦(北海道産)60%、有機大豆(北海道産)21%、魚粉(北海道産)4%など、配合設計はすべて公開している。北海道産の有機小麦と有機米は北海道で有機認証を受けており、卵のオーガニック認証は(株)北海道有機認証センターから受けている。そうした環境で生まれた「オーガニックエッグ」は、「臭みがなく、黄身に甘みがある」(水野氏)という。

ベースとなる「平飼い卵」の飼料には米が42%配合されており、「米独特の旨みが卵本来の美味しさを引き出している」。 また、健康に育った親鶏は「スモークド・チキン」として活用。引き締まった肉に燻製の香りが移り、「噛めば噛むほど旨みを感じることができる」。卵のニーズの高まりを受け、今後は親鶏のガラや砂肝も活用することを検討している。



2023年6月25日号

◎吉川養鶏(岐阜県羽島市)
シリーズ進化するブランド191
コクのあるまろやかな卵黄の「グルメ卵」
「たまご屋さんの焼くお菓子」の直売も


お菓子屋さんの「COCCOPURIO」(コッコプリオ)を運営しているのは、「グルメ卵」の生産・販売を手掛ける吉川養鶏(岐阜県羽島市、吉川亮三代表)。「グルメ卵」は配合飼料に乳酸菌、海藻、パプリカなどを自家配合することで、色つやが良く、張りのある卵白とコクのあるまろやかな卵黄が特徴になっている。5000羽という小規模で手集卵という昔ながらのやり方だが、鶏の健康管理に気を配り、腸内環境を整えることで美味しい卵を安定して生産することにつながっている。

そのグルメ卵を使って、「菓子づくりはまったくの素人だった」という跡継ぎの吉川真司氏が約1年をかけて開発したのがプリンだった。「それまでも卵の小売はしていたのだが、規格外も含めてすべて自分たちで売り切りたい」という想いでつくった「ぷりん日和」を自社の店頭やJAの直売所などに委託して販売したところ、徐々に評判を呼んで販売が伸びていった。評価された理由として、吉川氏は「鮮度のいいグルメ卵を使えるのが養鶏家の強みではないか」と話す。

吉川氏が2016年に「自分で倉庫を改装して」オープンしたのが「COCCOPURIO」だった。「たまご屋さんの焼くお菓子」をキャッチフレーズにグルメ卵や自社製の加工品を販売している。



2023年5月25日号

◎(有)満月(岡山県倉敷市)
シリーズ進化するブランド190
黄身が大きく濃い白身の「満月のたまご」
厳選した食事、より良い環境、健康管理


「満月のたまご」を販売する(有)満月(岡山県倉敷市、小田切義彦代表)は創業以来「白い卵へのこだわり」を大切にしている。小田切氏は「赤玉と白玉で含まれる栄養分に変わりはない。殻は捨てるだけなので、そこにお金をかけるより品質を重視している。満月のたまごは高品質な分、高めの価格設定だが、少しでもコストを抑えるため、白い卵にこだわっている」と話す。

「満月のたまご」は鶏に泥岩、石灰、糸状菌、麦飯石といった土の成分と、ブナ、楢の木の樹液という木の成分を給与するなど、厳選した食事、より良い環境、健康管理にこだわり、栄養豊富な卵を産卵させている。

卵はほとんど家庭向け。配達先は大阪、兵庫、岡山、広島、香川の一部と広範囲に及ぶが、曜日によって配達先を分けることで、自社でのルート配送を可能にしている。

基本的に20個入りのトレー・10キログラム入段ボールで配達し、容器は回収して再利用。これも「もともとは経費削減のためだったが、今となってはエコにつながっている(笑)」という。



2023年4月25日号

◎(株)小谷(大阪府能勢町)
シリーズ進化するブランド189
国産鶏が生む「能勢おうはんの玉子」
黄身が大きく雑味のない濃厚な味わい


「大阪のてっぺん、緑豊かな能勢町」で純国産鶏の「能勢おうはんの玉子」を生産する(株)小谷(大阪府能勢町、小谷健造社長)。小谷氏は「小谷養鶏場にとって生産者は『ニワトリ』で、生産者である『ニワトリ』にとって私は『飼育員』。私はただ、見守るだけ」と話す。

3年前、鶏種を岡崎おうはんに切り替えた。独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場で開発された日本でも数少ない純国産鶏で卵黄比率の高い岡崎おうはんの卵は、他鶏種の卵と食べ比べると「味がすっきりして、雑味や苦みがない。私は20年ほど養鶏をしているが、同じ環境と同じエサでも鶏種が違うと卵の味も違うということを始めて知った」(小谷氏)。鶏種の変更に当たっては家族にも食べ比べをしてもらい、確信を得たという。

飼料は「大阪うどん」の“太鼓亭〟の鰹節ダシ殻や地域の米、木酢液を独自にブレンドしたものを与えている。太鼓亭は北摂地方で約40年続く老舗で、創業以来、味の基本である出汁は良質の天然素材を使い、毎朝各店でじっくり丁寧にたてている。配合飼料に含まれる魚粉にその鰹節ダシ殻を加えることで、「黄身の味が濃厚になる」という。



2023年3月25日号

◎(株)櫛田養鶏場(愛知県稲沢市)
シリーズ進化するブランド188
臭みがなくコクのある卵「くしたま」
マグロのアラをブレンドして自家配合


ブランド卵「くしたま」を生産・販売する(株)櫛田養鶏場(愛知県稲沢市、櫛田吉彦社長)には「絶対ゆずれない3つのこだわり」がある。

その一つがマグロのアラを飼料にしたオリジナル自家配合飼料。EPAとDHAが豊富なマグロのアラを名古屋の中央卸売市場から仕入れて自社でミンチにし、一日かけて窯で煮続けてから飼料に配合している。さらに、飼料用米、魚粉、カキ殻、米ぬかなど約20種類を配合。鶏の健康と食べやすさを考慮してカット野菜工場から出る野菜クズも粉砕してブレンドしている。今年4月に社長に就任する櫛田氏は「手間もかかるし効率的ではないが、安心と美味しさのためには欠かせない」という。

「くしたま」は臭みがなくコクがあり、「お客様からは生で食べやすいといわれている」。また、一般卵と比較してビタミンB6は約2倍、ビタミンEは約2・5倍含まれている(一般財団法人日本食品環境検査協会調べ)。



2023年2月25日号

◎(株)つづき(熊本県菊池市)
シリーズ進化するブランド187
元気な鶏たちが生む「にんにくたまご」
ぷりぷりな白身と弾力のある濃厚な黄身


「にんにくたまご」を生産する(株)つづき(熊本県菊池市、続誠一朗社長)は「健康なたまごは健康な鶏から生まれる」として鶏の健康を第一に研究を重ね、飼料にはにんにくをはじめ、キトサン、ミネラル、薬草、乳酸菌などを自家配合している。

トウモロコシはnon–GMOでポストハーベストフリーのもの。続氏は「最近は飼料代が高騰しているので飼料メーカーからもっと安い原料を何度か提案されているが、鶏の健康とお客様が求めるものを提供するためには代えられない」と話す。

滋養強壮、免疫力アップのにんにくとキトサンなどを配合した飼料を食べた元気な鶏たちが生む、赤くて丈夫な殻に包まれた「にんにくたまご」は、ぷりぷりな白身と弾力のある濃厚な黄身が特徴になっており、同社では「生が一番!」のキャッチコピーを掲げている。

飼養規模は2万7000羽だが、「差別化やアニマルウェルフェアの考え方を取り入れて」10年ほど前から1万羽を平飼いにしている。 昨年は日本卵業協会のGPセンターHACCP認証を取得。現在は農場HACCPやJGAP家畜・畜産物認証の取得に向けて勉強を始めている。



2023年1月25日号

◎(株)菊永エッグファーム(鹿児島県南九州市)
シリーズ進化するブランド186
麦飯石を配合した「菊ちゃんのたまご」
コクと旨みのある濃厚な味わいの新鮮な卵


(株)菊永エッグファーム(鹿児島県南九州市、菊永成人社長)が生産・販売する「菊ちゃんのたまご」は、植物性100%の原料に麦飯石を配合した飼料を給与している。「百姓五代目」を名乗る菊永氏は「麦飯石には不純物を吸着させる効果があり、鶏の体内に入ることで不純物がふんとともに体外に排出されるため、卵特有の生臭さを抑えた、コクと旨みのある濃厚な味わいが特徴の新鮮な卵になっている」という。

菊ちゃんのたまごは、直売店やネットショップ、県内のスーパーなどで販売されているが、中でも「自販機が好調」で、現在2店舗ある自販機専門店を1店舗増やす計画を進めている。

直売店の「たまごの菊ちゃん」では菊ちゃんのたまごを生かし、自社製のプリン、シフォンケーキ、卵サンドなどのほか、委託製造の「菊ちゃんのパンケーキセット」といった加工品を販売している。菊永氏は「奇をてらわず、素朴な味わいを守る」として、保存料や添加物を一切使用せず、その日に作ったものはすべてその日に売り切るという方針を貫いている。



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