鶏卵肉情報 進化するブランド

2025年3月25日号

◎ホクレン農業協同組合連合会(北海道札幌市
シリーズ進化するブランド211
道産飼料を配合した「贅コクたまご」
循環型の「ケッコー自由な平飼い卵」


ホクレン農業協同組合連合会(札幌市、篠原末治代表理事会長)はコロナ禍の2021年11月、「当たり前の日常にちょっと贅沢を」をコンセプトに、北海道産の原材料を配合した飼料で育てた鶏から生まれた「贅コクたまご」を発売した。

「贅コクたまご」は「贅沢」と「コク深い味わい」を合わせた造語で、①生食に適している(生食に適した配合飼料特許取得飼料使用)②黄身の色が濃い③道産飼料配合(トウモロコシ10%、飼料用米12%)――という特徴がある。

商品開発に当たった道央支店鶏卵課の辻本悠介係長によると、官能試験を重ねながら、生食に適した飼料の配合設計を7年間かけて開発したという。辻本氏は「食べ物は五感で味わう。特に日本は卵黄色の濃い卵が好まれるので、カラーファンは16と北海道内で最も高く設定した。北海道産の飼料用米とトウモロコシを配合することで作付面積と北海道の農業を維持し、生産者の所得向上に努めていく」と話している。

2024年9月には、「みんながケッコーしあわせになるたまご」をコンセプトに「ケッコー自由な平飼い卵」の販売を開始。鶏卵課の大場優汰氏によると、「みんなのしあわせ」とは①鶏たちのしあわせ②食卓のしあわせ③北海道のしあわせを指す。



2025年2月25日号

◎㈱山田鶏卵(山形県米沢市)
シリーズ進化するブランド210
濃厚な甘みとコクが特徴の「紅花たまご」
大自然の清らかな伏流水で元気に育つ


山形の県花である紅花を給与した「紅花たまご」は、飼料に天然成分の地養素(ブナの木のエキス、木酢液等)や米ぬかを与え、乳酸菌で鶏の腸内環境を整えている。

生産・販売する㈱山田鶏卵(山形県米沢市)の山田浩樹社長は「農家に聞くと、紅花の花は染料になり種も搾油で価値が高いが、それ以外の部分は廃棄物になって困っていた。そこで我々が有効活用することにして、粉砕・乾燥して年間を通して配合している」と話す。紅花たまごは卵特有の生臭さが少なく、濃厚な甘みとコクが特徴になっている。

同社が自社農場の山田ガーデンファームを立ち上げたのは2005年。それまでは県内外から卵を集めて販売する「100%流通業」(山田氏)だったが、作り手の思いを反映させたいという思いから農場運営を開始した。しかし、「養鶏は素人同然」だったため、飼料メーカーや同業他社などの協力を得ながら試行錯誤を重ね、4~5年かけて自信を持てる卵にしていったという。

「卵は鮮度が命」として、2007年には本社工場を全面改装。衛生的に洗卵選別ができるようHACCPの管理手法に基づいて設計しており、2019年には山形県内の採卵鶏業者としては初めてとなる農場HACCP認証も取得した。

通信販売では自社の卵だけでなく、米や果物など、農業王国・山形のおいしい農産物を幅広く展開。米のおいしさと鮮度を守るための玄米保管庫も備えている。



2025年1月25日号

◎農事組合法人東山産業(香川県木田郡三木町)
シリーズ進化するブランド209
葉酸が一般卵の1.7倍の「オリーブEgg」
濃厚な黄身とさわやかな白身の味わいが好評


小豆島産オリーブの葉の粉末を飼料にミックスした「オリーブEgg」はビタミンB12を助ける葉酸が一般卵の1.7倍含まれ、濃厚な黄身とさわやかな白身の味わいが特徴になっている。生産する農事組合法人東山産業(香川県木田郡三木町)の志渡聡一郎代表理事組合長は「香川県はオリーブハマチなどオリーブを使った養殖が盛ん。オリーブ牛など肉類は絞り粕を給与しているが、オリーブEggはオリーブハマチと同じくオリーブの葉を使っている」と話す。

同社ではPHFのトウモロコシを中心に、大豆や飼料用米、魚粉などの指定配合飼料を使用し、初生雛から一貫生産。〝食と農を通じて、食卓に笑顔と幸せをお届けする"をモットーに、高品質で安心・安全な卵を生産している。「母鶏に安心なエサを与え健康に育てるPHF飼料の飼育法は、食卓へ安心な卵をお届けするための私たちのこだわり」という。

平飼いも始めた。開放鶏舎の中で活発に動いているので鶏の健康状態も高くキープでき、うま味や甘みをしっかりと感じられる濃厚な卵になっている。

2015年にはたまごの専門店「danran(だんらん)」をオープン。「農家が加工品を作って売っていくには、自分たちの強みを生かさないといけない。自分たちの生産物をお客様に見える形で」と、たまごプリンやたまごロールケーキ、たまごシュークリームなどの加工品に加えて、定番の卵かけご飯のほか、ランチでは肉と卵を食べるランチ、カルボナーラなど、卵を全面的に押し出したラインナップを提供している。

志渡氏は「オープン当時、戦略的には規模拡大か付加価値向上の2択を迫られていたため、付加価値をより高めていくこととした。また、販売は基本的に卸売りまでだったので、お客様の顔が見える形で商売をしようということで店舗を作った。なぜここに作るの? と言われるほどの田舎にあるが、20キロメートルまで商圏を広げると高松市も入るので、多い日には200~250人が来店している」という。

加工品は一部を除いて自社製造。現在は店長を中心に工房スタッフが中心になって製品開発を行っている。「ものづくりは簡単ではないが、長期的に地道な積み上げをできるかが大切」

今後について、志渡氏は「買って食べて喜んでもらって、また買っていただくということを続けていきたいし、広げていきたい」と話している。



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