鶏卵肉情報 進化するブランド

2021年9月25日号

◎(株)竹内養鶏場
シリーズ進化するブランド170
コクとやわらかい甘みの白い卵「米艶」
北海道産99.8%を配合した「奇跡の卵」


「卵は毎日食卓にあがるものだからこそ、安心して食べていただきたい」という想いから、北海道産飼料99.8%を自家配合している(株)竹内養鶏場(北海道音更町、竹内強氏と竹内康浩氏の2代表制)。「自然豊かな北海道で生まれた農作物と海産物だけを使った飼料で卵を生産したい」という強氏が、30年をかけて試行錯誤を重ねてできた「奇跡の卵」が「米艶」や「玉艶」などのブランド卵だ。

遺伝組み換え作物やポストハーベスト農薬への疑問を抱いた強氏は、1998年からnon-GMOとPHFのトウモロコシに切り替えるとともに、もともと十数種類の輸入原料を配合していた飼料原料を一つひとつ見直すことから始め、トウモロコシ以外の原料を国産に切り替えた。さらに2010年、生協から飼料用米を使った卵の生産を依頼されたのを契機に、配合率7割近いトウモロコシをすべて米に置き換え、コープさっぽろのPB商品「黄金そだちのこめいろゆめたまご」の販売を開始した。

しかし、強氏の意向でパプリカなどの着色を一切していないため、発売当初は「気持ち悪い」「腐っている」など「毎日のように苦情が来た」(康浩氏)という。そこで「味と品質が良いことはわかっていたので、飲食店などもっと多くの人に食べてもらおうと」立ち上げたのが自社ブランド「米艶」だった。

「米艶」には北海道産米を68%のほか、サンマ、イワシ、ニシンに限定した北海道釧路産の魚粉を15%と高めに配合することで、米のオレイン酸と魚粉のコクが融合し、やわらかい甘みとなめらかな舌触りが特徴の卵になった。

現在は北海道産トウモロコシを68%配合した「玉艶」も生産。「米艶」同様、高品質の魚粉と北海道産の生米糠などを配合し、350日齢までの若鶏に限定することで、しっかりとした旨味とコクの卵になっている。2018年からはコープPB「とうもろこしゆめたまご」も発売した。



2021年8月25日号

◎徳森養鶏場(沖縄県うるま市)
シリーズ進化するブランド169
特産の黄金イモを配合した「くがにたまご」
農業のオセロを全部引っくり返していく


「お客さんも従業員もハッピーで、取引先とも生き生きとした関係をつくっていきたい。農業のオセロを全部引っくり返していく」というのは徳森養鶏場(沖縄県うるま市)のノーマン 裕太ウエイン代表。

ブランド卵「くがにたまご」の飼料には、うるま市の伊計島で採れる特産の黄金イモを配合。「3万羽という規模では薄利多売は無理。徳森養鶏場を有名にするには独自の卵をつくって直接伝えていかなければ」という思いから研究を始め、ビーグ(い草)やもずく、津堅島のニンジンなどを試した結果、すべての中で最も相性が良かったのが甘さの強い黄金イモだったという。水も「黄金水」(くがにみじ)という地元の地下水を使っている。

昨年は直営の「Gold Coast TAMAGOYA」をオープン。くがにたまごやゴールドサンドのほか、くがにたまごを使った菓子・ちいるんこうや、オリジナルデザインのシャツも販売している。

「FLAAP」をブランドキーワードにアパレルも展開する。「FLAAP」とは「FLAP」の強調語で、「翼をバタバタする」「羽ばたいていく様」を表す。ノーマン氏は「3Kや6Kといった後ろ向きなことではなく、農業だからこそできることや変えられることがある」として、農業にまつわる古い常識の殻やイメージをブッ壊していく方針だ。



2021年7月25日号

◎(株)セーラー(兵庫県加古川市)
シリーズ進化するブランド168
名店で活躍する「日本一こだわり卵」
徹底的にこだわりコスト削減は考えない


「フランス料理の鬼」と呼ばれたホテルオークラの初代総料理長・小野正吉氏に「まさしく日本一こだわった卵だ」と称されたことから命名された「日本一こだわり卵」。テレビや雑誌など多くの媒体で紹介され、2019年に東京で開かれた「第一回たまごかけごはん祭り」では数ある全国のブランド卵の中からグランプリを受賞した。

飼料にはイワシの魚粉や小麦麦芽、米ぬかなど栄養豊富な成分を配合。今、魚粉は世界的に高騰しているが、販売する(株)セーラー(兵庫県加古川市、塩谷博邦社長)の広報部海外輸出部部長・平井健一氏は「ここを落としたらうちの卵ではない。品質に徹底的にこだわりコスト削減は考えない」という。飲水は水質を管理した上で兵庫県赤穂市の地下水を給与。雨水や水道水は使っていない。

日齢も約200〜400日と若い鶏に絞り、「濃厚で活力ある卵」しか採卵しない。そのため、「日本一こだわり卵」は独特の生臭さがなくクリーミーな味わいで、ビタミンEが一般的な卵の約30倍含まれるなど栄養価も高い。

こうした味と品質が評価され、今では高級ホテルや料亭をはじめとした全国の有名店で活躍している。たまごかけごはん祭りグランプリを機に通販も好調で、コロナ禍で飲食店が厳しい中でも特に通販の売上は伸びているという。



2021年6月25日号

◎春夏秋冬(神奈川県小田原市)
シリーズ進化するブランド167
旬を生かした生命力の強い春夏秋冬の卵
低カロリー・低タンパク飼料で鶏を健康に


6ヘクタールの畑とともに成鶏400羽の平飼い採卵養鶏を展開している春夏秋冬(神奈川県小田原市、檀上貴史代表)。朝夕の発酵飼料をベースに、昼は「ランチサラダ」としてそれぞれの季節の野菜を給与。春は菜の花などのアブラナ科、夏はソバの新芽、秋はコメやサツマイモの蔓、冬は栗といった季節の緑餌を与えることで、生命力の強い、季節に合わせた卵としている。

初生雛で導入し、育雛法は「スパルタ式」(檀上氏)。近くの山から拾ってくる落ち葉や腐葉土を発酵させて敷料とし、10日齢までの間に地場の微生物や菌に触れさせることで鶏の自然免疫力を高めている。

成鶏の発酵飼料は「鶏が自然界で食べるであろう状態のもの」として、米ぬか、玄米、蕎麦、小麦など地元産の食品副産物を自家配合している。羊羹メーカーから出る小豆も半年かけて乳酸発酵させ、今の時期なら酒粕焼酎の粕も活用。低カロリー・低タンパクの飼料は「成長速度を緩やかにし、鶏の体躯が充実してからの産卵を可能にする。さらに、産卵期間を長くし、体力を充実させた状態での余裕のある産卵を可能にする」。

季節によって給餌するものが変わるため、卵も当然「季節によって風味が変わる」。以前は使用する料理人から「品質にバラツキがある」や「個体差がある」などと言われたこともあったが、「食品副産物は人間の生活にもリンクしていて、飼料もそれに応じて変えている。最近は『旬の卵』という意味を理解してくれる人が増えてきた」という。



2021年5月25日号

◎社会福祉法人こころん(福島県西白河郡泉崎村)
シリーズ進化するブランド166
森に囲まれた環境で生まれる「ここたま」
平飼いと地元産飼料でやさしい味の卵に


福島県西白河郡泉崎村の「社会福祉法人こころん」は、障がい者の働く場として平飼いによる採卵養鶏を展開している。当時はケージ飼いだったものの「鶏が自由にのびのびと生きていけるように、利用者も社会に羽ばたいていけるように」の意味から、森に囲まれた静かな環境に新天地を求め、300平方メートルの鶏舎を建て1000羽という低密度の平飼いを行っている。

「人と鶏と環境にやさしい、ここだけの卵」と名付けられたブランド卵「ここたま」は地元産の飼料用米とトウモロコシを主原料に、鶏の健康に必要な栄養を給与。さらに棚倉構造線という断層帯からから採れる海底土壌の化石なども配合することで「生臭さがなく、やさしい味わい」の卵になっている。

こころんファームは、養鶏場の鶏ふんを使った自家製堆肥による土作りや自分たちで作った温床を用いた苗作りなど、農薬を使わない野菜作りに取り組んでいる。品目は約50種類に上り、クズ野菜は鶏にも給与するなど、循環型農業を実践している。

「人と鶏と環境にやさしい」という方針を「形として証明するため」、2019年には青果物と鶏卵の両方でJGAP認証も取得。平飼い卵「ここたま」と、無農薬無肥料の自然栽培米「こころん米」、国産大豆100%〝3年仕込み生醤油〞の「那須むらさき」が入った卵かけご飯セットは、贈答用などで人気になっているという。



2021年4月25日号

◎(有)エッグ(神奈川県横浜市)
シリーズ進化するブランド165
モーツァルトを聴いて育った鶏のたまご
鶏ふんを活用した有機農法の野菜も給与


「日本一おいしいたまごの生産を目指す」として、胎教によいとされるモーツァルトを聴いて育った鶏のたまごを生産・販売している(有)エッグの箕輪養鶏場(横浜市、箕輪茂代表)。箕輪氏は「昭和の終わり頃から噂は聞いていたが、モーツァルトが鶏にいいと聞いた時は神話か迷信だと思っていた」。しかし、平成12年から実際にモーツァルトを聴かせてみたところ、鶏がリラックスするためか「予想以上の効果があった。産卵成績も上がり、格外卵も明らかに減った」。さらに「話題になったので営業面でも効果があった(笑)」という。

「安全でおいしい卵は健康な鶏から生まれる」という考えのもと、配合飼料メーカーが製造する中で最もグレードの高い飼料を給与するなど「日々改良を重ねた」結果、殻が固く弾力のある卵になった。

買って食べた人のブログには「旨みが凝縮されて、まろやかな味わい」や「黄身が綺麗で味が濃い」「殻が固く、割ると弾力がある」などの感想が上がっている。横浜という住宅地での養鶏だが、「周辺は元から住んでいる人が多いのと、農場の位置が高く風通しがいいこともあって苦情はない」という 



2021年3月25日号

◎山田農場たまご(岐阜県関市)
シリーズ進化するブランド164
自然のおいしさをそのままお届け
地元で愛される山田農場たまご


岐阜県関市西部の市街地にほど近い田園地域で昭和36年から養鶏を営む山田農場たまご(山田顕司農場長)。太陽と自然の空気が入る開放鶏舎と長年の経験を基にした安心の配合飼料で飼育している。

鶏舎は開放鶏舎のヒナ段2段ケージで、収容羽数は1棟1600〜1700羽の鶏舎が5棟ある。あまり密飼いにならないよう、そして売り切れる数を生産するよう心がけているとのことであった。

同社の卵のテーマは「一般の方に毎日食べていただける価格で最高の品質の卵を作ること」。鮮度にもこだわり、直売場で販売する卵は産卵当日と前日卵のみとなっている。

山田農場長によると「直売場は先代が『これからの時代の養鶏場は直売場がないと駄目だ』と考えて始めた。最初のうちは店舗を構えず、カゴを持ってきたお客さんに量り売りするというやり方だったが、平成初期に自動販売機を導入し、徐々に店も整えていった」とのこと。

このコロナ禍で飲食店からの需要は落ち込んだものの、直売場の売り上げは伸びており、特に新規の客が増えてきているという。キャッシュレス決済や自動販売機も積極的に導入して、対面販売の営業時間を短縮しつつも売り上げは順調だ。

販売する卵のパッケージも多彩で、中でも2キロのネットは珍しいとお客さんに好評だという。その他にも赤玉・白玉の10個パック、15個パックなどさまざまで10種類ほどある。山田農場長は「多彩なパッケージでお客さんに選ぶ楽しみを感じてもらえたら」と話した。



2021年2月25日号

◎ワタナベファーム(栃木県矢板市)
シリーズ進化するブランド163
あかり・こはる・ひよりの「三姉妹」
特徴が異なるワタナベファームの卵


「同じ赤玉でも、鶏種が違えば味も違う。食べてくれる人たちに、がんばって生んでくれる鶏たちを身近に感じてもらうためにも、それぞれの違いを伝えていきたい」と話すのは、ワタナベファーム(栃木県矢板市、渡辺茂代表)の直売店で東京・北千住にあるDaisyの川尻幸恵氏。

「三姉妹」と称する3種類あるブランド卵のうち、「あかり」は黄身が濃厚で、調味料にも負けない強さが特徴。強い出汁にも卵の味が負けないので、だし巻き卵、茶碗蒸しなどの全卵使いに向いている。「こはる」の黄身は料理の邪魔をしない優しい味わいで、弾力のある白身はゆで卵や煮たまごなど白身を固める調理に。「ひより」の黄身は甘みが特徴的で、濃厚ながら口当たりがもたつかない上品な後味。卵かけごはんでは出汁醤油や塩、調味料なしもお勧めという。こうしたそれぞれの特徴を店内に掲示し、三ツ星タマリエの有資格者でもある川尻氏らが来店客にもていねいに説明している。

自家製のシフォンケーキにはこはる、たまごボーロはひより、だし巻き卵はあかり・こはる・ひよりの3種類で出汁そのままの味と甘めを選べるよう全部で6種類の味を選べるなど、それぞれの特徴を生かしている。



2021年1月25日号

◎長谷川農園(埼玉県戸田市)
シリーズ進化するブランド162
濃厚卵白のしっかりとした「ゴトウもみじ」
放し飼いでストレスのない鶏が生む元気な卵


「鶏は一度飼ったらやめられない」と笑うのは、長谷川農園(埼玉県戸田市)の長谷川光司氏。埼玉県南東部に位置し、荒川を境に東京都と接する戸田市は、1985年のJR埼京線開通以降、高層マンションの建設が相次ぎ、現在は人口約14万人の住宅地。長谷川農園の農場も幹線道路に近く、周囲には住宅や倉庫などが立ち並んでいる。住民の環境問題への意識が高まる今、とても養鶏に向いているとはいえない地域だが、「悪臭や鳴き声などへの苦情はほとんどない」という。

1600平方メートルの畑の一画で、純国産鶏のもみじと、南米・チリ原産のアローカナをベースにしたアローカナ・クロスの計200羽ほどを放し飼い。もみじは濃厚卵白のしっかりとした丈夫で光沢のある卵を生み、アローカナ・クロスは強健で、小粒な卵を生む。

生まれた卵は、「臭みがない」「一度食べたらほかの卵は食べられない」などと評価され、ほぼすべてを農場隣接の自動販売機で販売している。



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