月刊HACCP シリーズ伸びる企業の安全確保・品質管理

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2012年5月号

◎社会福祉法人薫徳会・セントラルキッチンかすがい(愛知県)
障がい者が主体となって働くセントラルキッチンでHACCP導入
〜一人ひとりへの理解を前提にSSOP・SOPを作成〜

社会福祉法人薫徳会(くんとくかい)が運営する「セントラルキッチンかすがい」(愛知県春日井市四ツ家町)は「障害者就労継続支援施設」(障がいのある人たちに働ける場所を提供し、自立促進や社会参加を促すことを目的とした施設)として、2009年に開設(施設は農林水産省のHACCP法認定を取得)。障がい者のほか、調理師、栄養士などのスタッフも勤務しており、主に県内の病院や老人保健施設向けの食事の提供を行っている。障がい者の安全性に配慮し、設備はオール電化方式を採用。また、調理に関してはクックチル方式を採用している。

同施設の谷川基行センター長は日本HACCPトレーニングセンター(浦上弘理事長)主催の「HACCPフォローアップセミナー」(1月30日開催)において、食品安全管理・品質管理に関する取り組みについて講演を行った。

同施設には現在、障害者自立支援法で定めているところの『就労継続支援A型』が30名(雇用型。雇用契約をしている障がい者)、『就労継続支援B型』が20名(非雇用型。就労継続支援A型での雇用を目指して訓練を受けている)勤務している。また、障がい者のほか、調理師や栄養士などのスタッフが、セントラルキッチンかすがいに26名、サテライトキッチン(7カ所)に67名勤務している。設備は、障がい者への高い安全性を考慮してオール電化を採用。また、調理方法としてはクックチル方式を採用している。1日約2000食の病院・老健施設向け食事を提供している。

講演において谷川氏は、HACCP構築の経緯について紹介。「当センターの開設に当たり、最初の『壁』となったのは、『どうやって食事を作っていくのか?』『どういった工程で作業を行うのか?』ということではなく、むしろ『障がい者とどう接すればよいのか?』ということでした。一般のスタッフよりも、障がい者の方が多い状態でしたので、『どのように指導をすればよいのか?』という課題に直面しました。また、福祉関連の経験があるスタッフも少なかったので、いわば『何もないところからのスタート』でした。最初のうちは、深夜に作業が及ぶ日が続きました。しかも、調理担当の障がい者からは、毎日のように『手を切った』『火傷した』といった報告が絶えませんでした。

そのため、スタッフの精神状態はギリギリの中にあり、実際のところ、スタッフの気持ちとしては『こんなはずではなかった』『(生産力の向上と調理技術などを)吸収できない状態がいつまで続くのか?』といった思いがあり、毎日のように『どうすればこの問題を解決できるか?』と相談を受けていました。私自身、なかなか解決に向けた良いアイデアもなく、自問自答を繰り返す日々でした。そうした日々が続く中で、スタッフ間で話し合いを重ね、ようやく一つの方向性を見出していくようになり、少しずつですが変化も見られ始めました。それは、障がい者(メンバー)の《作業》と《作業場》を固定化することで、業務をルーティン化することでした。『一人ひとりの適材適所を探そう』と考えて作業を割り当てることで、3カ月後には『彼らは、思っていた以上に仕事ができる!』ということを知るようになり、6カ月後には『彼らがいないと、仕事が回らない』という状況になりました。つまり、彼らが《当たり前の存在》になってきたのです。最初のうちは『どう接すればよいのか?』と悩んでいたのですが、今では『人として当たり前の接し方をすればよい』『配慮は必要だが、遠慮はいらない』と考えています。また、できない作業は、できる人が行えばよいという考え方に変化しました」と振り返る。

谷川氏は「今、感じていることは、第一に障がい者は、潜在的に秘めた『力』を持っている―ということです。例えば、彼らの多くは、根気の要る作業や反復作業であっても、丁寧かつ確実に実行してくれます。第二に、『可能かどうか?』が行動基準ではなく、『必要かどうか?』が行動基準である―ということです。何か課題が見つかった時、腰が引けてしまって『できない』『やれない』と思ってしまいがちですが、前向きに『どうしたらやれるのか!?』と挑戦する姿勢を大切にしたいと考えています。そして、第三にコミュニケーションの大切さを感じました。会議やミーティングの場などもありますが、コミュニケーションの質と量で《現場の知恵》は育まれるものだと実感しています」と総括した。

今後の課題や展望については、「第一に労働生産力の向上を図ること(今後、施設の増築や大幅な改修なども計画しています)、第二に食事の質を高めること、そして第三に衛生面の強化が挙げられます。一度でも食中毒などの事故を起こしてしまえば、当センターの信頼が損なわれるだけでなく、《障がい者と一緒に働く》という事業に対する信頼度も低下してしまいます。衛生面については、今後もしっかりと管理し続けなければなりません。また、今後の展望については、販路の確保のほか、オリジナル商品(例えば、嚥下困難な方を対象とした《やわらか食》など)の開発なども進めていきたいと思います」と述べた。



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2012年4月号

◎ときめきファーム(株)岩手事業所(岩手県)
鶏肉加工施設が既存のハード・ソフトをベースにISO22000認証取得
〜KFCカットチキン生産認定工場として蓄積したノウハウを最大限に活用〜

食肉処理加工業(ブロイラーの肥育生産・製造・加工)を主業務とするときめきファーム(株)(本社・千葉県千葉市若葉区、岡本康治社長)は2011年12月2日、同社・岩手事業所(新鮮工房、所在地・岩手県盛岡市玉山区)においてISO22000認証を取得した(審査登録機関は一般財団法人日本品質保証機構(略称「JQA」)。登録事業所は製造部新鮮工房/宮守農場/胆沢農場/水沢農場/一関第一農場/一関第二農場/前沢農場/江刺農場/簗川農場/石鳥谷農場。登録活動範囲は(1)ブロイラーの飼育、(2)ブロイラーの処理、加工および配送。同社では、現在、千葉事業所(良品工場)でもISO22000認証取得に向けて取り組んでいる。

ときめきファームは、三菱商事のグループ会社の統合により2000年に設立され、同年から日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)(以下、KFC)への納品を開始した。現在の処理羽数は、岩手事業所が約1100万羽、千葉事業所が約650万羽。加工された製品は、約25%がKFC向けに納品されるほか、業務向けや一般消費者向けにも販売されている(ほぼ全量が三菱商事グループのフードリンク(株)および米久(株)を介して販売される)。

ISO22000認証の取得に取り組んだきっかけについて、代表取締役社長の岡本康治氏は「『食の安全確保』『コンプライアンス』『防疫体制』は、わが社の存続における前提条件として位置づけられる“3本柱”とでもいうべき要素です。そして、ISO22000認証取得は、この前提条件を確立するための取り組みの一つと言えます。以前から、ISO認証の取得は考えていましたが、大手流通業者から『ISO認証を取得してください』という話を持ちかけられたことも、その後押しになりました」と振り返る。

キックオフから約1年で認証取得を実現したが、構築時には「当社は『KFCカットチキン生産認定工場』なので、『KFCの認定基準』と『ISO22000の要求事項』をリンクさせるという考え方で取り組みました」を岡本社長は振り返る。ISO22000構築時の苦労については、品質保証部の田村美雪氏(現:品質保証室長)が「最も苦労したのはハザード分析でした。本格的なハザード分析を行い、書式にまとめる作業は、今回が初めてでした。以前から、現場でのハザードのコントロールはきちんとできていたと思いますが、書式にまとめたことがなかったので、最初のうちは戸惑うことが多かったです」と語る。また、岩手事業所食品安全委員長の本間正雄氏(現:千葉事業所食品安全委員長)は「ISOで使う用語に馴染みがなかったので、用語を理解し、現場で使えるようになるまでは『ISOアレルギー』『用語アレルギー』のような雰囲気もありました。しかし、『用語』は、ISOの入り口です。最初の入り口でつまづくと、後から修正するのは容易ではありません。そのため、『まずは用語を正確に理解しよう!』と考えました。自分たちなりに勉強していくうちに『これまでやってきた取り組みは、ISO22000の用語に置き換えることができる』と思えるようになりました。これまでも『KFCカットチキン生産認定工場』の基準は満たしていたので、品質や安全を守るための作業はできていたと思います。しかし、『実際に書類に書く、文書化する』ということは、やはり難しかったです」と語った。

ISO22000に取り組んだ効果について、岡本社長は「社員の食品安全や品質管理に対する意識は、これまで以上に高まったのではないでしょうか。我々の責務は、お客様(販売会社であるフードリンクと米久)にとって『売りやすい商品』を納めることです。ここでいう『売りやすい商品』とは、端的にいえば『安全が確保された商品』ということです。そのための道具としてISO22000を使いこなしたいと考えています」と語る。また、本間氏は「ISO22000に取り組む以前から、KFCカットチキン生産認定工場の基準に基づいた取り組みはしていましたが、どちらかといえば“受け身”の意識だったように思います。しかし、最近は『(ISO22000を)やらないといけない!』という積極的な意識に変化してきたように感じています。こうした積極的な姿勢が、将来的には『組織の力』になるものと期待しています」と語った。

今後の課題や計画について、岡本社長は「認証取得が目的ではなく、今後、この仕組みをどのように運用していくかが大切です。この仕組みを活かすためには、従業員教育や研修プログラムなどのさらなる充実を図り、社内にISO22000の方針や仕組みを浸透・定着させていくことが大切になるでしょう。千葉事業所でもISO22000認証取得に取り組みますが、今後も、その時代に即した、最善の仕組みを積極的に取り入れていきたいと考えています」と述べている。



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2012年3月号

◎越後製菓(株)(新潟県)
独自技術の超高圧米飯ラインでISO22000の認証取得目指す
〜これまでの認証・運用ノウハウを今後の主力工場に反映〜

「越後生一番・越後のお鏡餅」や「越後のごはん」などで知られる越後製菓(株)は、2001年には餅業界初のISO9001認証を高梨工場で取得、米菓の片貝工場にも展開し、2008年5月には沼田工場で「包装米飯(白米)の製造(トレーの成型を含む)」でISO22000の認証を取得した(審査登録機関は日本化学キューエイ(株))。さらに、そのノウハウを今後の主力工場となる小千谷工場にフィードバックさせるため毎月1回の食品安全会議を重ね、構築中の新しいラインに、その思想を取り入れるべく取り組んでいる。

ISO22000の認証取得に向けて取り組んでいた当時、沼田工場の工場長を務めていた大滝好取締役(現・小千谷工場長)は、ISO22000認証取得のきっかけについて「当社では、餅や米菓、米飯など、いずれの生産設備も自社で開発してきました。高圧処理を取り入れた沼田工場の生産設備も、構想からすべて自社開発したものです。沼田工場では原料米を容器トレーに充填の上、炊飯を行い、クリーンルーム内で脱酸素剤を封入していますので、嫌気性の微生物制御が最も重要な課題でした。そこで、これまで他工場で取り組んでいたISO9001ではなく、ISO22000の認証を取得して食品安全を徹底しようということになって、2006年から認証取得に向けた具体的な準備を始めました」と語る。

また、認証取得に際しての課題については「ボツリヌス菌による汚染を微生物的な危害として構築したことです。米飯を容器に包装して販売する当社としては、(米飯の特性や包装形態は、ボツリヌス菌のリスクがゼロではないため)ボツリヌス菌への対策は避けては通れない課題でした。結果として、ボツリヌス菌を含めた嫌気性芽胞菌をコントロールの対象にするかどうかについてはさまざまな議論がありましたが、対象にしなければ、たとえ認証を取ったとしても安全に対して意味がないという結論になりました」「ISO22000の認証取得に当たって最大の問題だったのは、微生物制御でした。微生物との闘いとは、いかに工場を汚さないかということと同義だと考えています。小千谷工場の新ラインでは工場全体を乾式にして、水は可能な限り使わないという方針を立てました。米の加工には洗米や浸水、脱水など、水との関わりは本質的に切っても切れるものではありませんが、原料をバケットの中に入れて各工程に運搬し、必要な水はバケットの中だけに注入する方式にすることで、米も水もむき出しでは工場内に存在しない状態を作り出そうと考えました。バケットの中で洗米し、それが終わったら今度はバケットを丸ごと次の工程に送って超高圧をかけ、遠心脱水してから個々にトレーに米を計量し、トップフィルムをかけて炊飯、できあがりと、原料の米が一度も露出しないようにすることで、工場内に米も水も落ちないようなシステムを構築しようと考えました」と説明する。

同社の特徴として、「汎用機械を除いたほとんどの機械を自社で設計し、自社で製作している」という取り組みが挙げられる。この点について、大滝氏は「米菓の業界は大手でも中小でも、どこもだいたい同じような設備を持っていて、どこかの会社がヒット商品を出すと、その1週間後には他社から類似の商品が出てくるような業界でもあります。そこで、当社では、他社が真似のできないような高い付加価値を持った商品を作るために、あえて自社製の機械を使っています。こうした独自の機械で製品を製造するためには、安全性を客観的に評価してもらうとともに品質を保証するシステムが必要だと考えて、『餅製品と米菓製品の開発と製造』としてISO9001認証を取得しています」「食品機械の衛生基準の一つであるEHEDG(欧州衛生装置設計組合)の『食品機器の衛生的設計基準』では、『点検、洗浄が容易なこと』『部品は容易に外せること』などを要求していますが、当社では『汚れたから掃除をする』という考え方ではなく、そもそも『汚れない工場』ということを大前提にしています(もちろん、原料が直接触れる部分は分解・洗浄・殺菌がしやすいように設計しています)」と述べる。

現在、沼田工場で蓄積した知見などを基に、小千谷工場でのISO22000認証取得に向けた準備を始めているところである。



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2012年2月号

米国のカット野菜・カットフルーツの農場・加工・物流の現場を視る
〜青果物カット事業協議会/野菜ビジネス協議会 海外研修報告〜

2011年10月30日〜11月6日の8日間の日程で、青果物カット事業協議会、野菜ビジネス協議会(いずれも(社)日本施設園芸協会が事務局)合同の米国海外研修(団長:FURXグループ/(株)三晃・黒田久一代表取締役)が実施された。そこで、本号では、同視察に参加したフードテクノエンジニアリング(株)技術本部品質保証部の佐藤徳重氏に、各視察先の詳細についてご寄稿いただいた。

今回の研修では、ポパイのマークで商品展開をしているカット野菜企業「リバーランチ・フレッシュフーズ」のサリナス工場を視察した(同工場では、レタス、ブロッコリー、ホウレンソウのカット野菜加工を行っている)。

(編注:本号では農場、加工場、物流センターなどの視察先についてのみ掲載している。小売・流通における視察報告は、別号での掲載となる。なお、このホームページではカット野菜加工場の視察内容についてのみ掲載する)

(1)入荷

入荷時の物量は、トラック1台当たり24パレットで、トラック1台を1ロットと位置づける(1パレット当たり350〜800パウンド)。そのうち5〜10パウンドを抜き取って、品質検査を行うことで格付けする(見学時に確認できた目安では、12パレット当たり2個程度のサンプリングを行っていた)。なお、荷受けは屋外で行われていたが、品温が上がらないよう、屋外に冷却システム(真空予冷)を持っており、温度管理には気を使っている。

(2)製造場

【原料保管庫】庫内温度を華氏35度で温度管理している。日配品の非加熱惣菜にもかかわらず、原体は各ロットにつき1ケース分のサンプルが保管されており、誤って出荷されないように、日時、客先などをマーキングして、パレット単位で17〜21日間サンプリング保管されている。なお、クレームが発生した場合は、このサンプルから常に確認できるようにしている。

【加工場】カット後の商品を「洗浄」⇒「選別」⇒「洗浄殺菌・水切り(3回)」⇒「脱水」⇒「計量・包装」⇒「梱包」を行う工程を見学した。この製造エリアでは、製造側(洗浄・殺菌⇒脱水⇒計量包装⇒梱包)と梱包組み立てとの間にビニールカーテンでゾーニング(区画分け)がされていたが、それ以外の厳密な区画制限はなく、区画間の入退場制限もなかった。

さらに、梱包済みの製品は、ゾーニング(区画分け)のない箇所を、商品の作業動線を逆走する形で、別室へコンベアで自動搬送されていた。2ラインの製造ラインがあり、見学時はブロッコリーとホウレンソウが製造されていた。見学時は、1ライン当たり2.5トンを投入し、製品生産量は1時間当たり2.0トンとなっていた。

また、ホウレンソウは、選別後の洗浄・殺菌では、洗浄を3回行い、遠心脱水後、コンピュータ・スケールによる計量・包装後、梱包され、出荷されていた。

(3)衛生管理/衛生管理システム

衛生管理面については、HACCPシステムが導入されており、CCPは洗浄・殺菌工程と金属探知機工程の2点が設定されていた。

本来であれば、CCPにした根拠(危害要因分析)とCLおよびモニタリング、是正処置のバリデーションについてまで確認したかったが、時間切れとなってしまい、確認できなかった。

また、商品の品温上昇や冷却工程などもCCPとなる場合もあるが、製造場内が華氏35〜36度でコントロールされているので、この工場ではCCPになっていない。



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2012年1月号

◎(株)明治・大阪工場(大阪府)
「きのこの山」「たけのこの里」でSQF2000認証取得
〜「日本市場をリードする食品メーカー」目指して新たなチャレンジ〜

菓子、牛乳・乳製品、健康・栄養食品の製造販売などを主業務とする(株)明治では、国民的人気を誇るロングヒット商品「きのこの山」「たけのこの里」の製造・加工ラインにおいて、GFSI 承認規格の一つであるSQF2000認証を取得した。

「きのこの山」「たけのこの里」は国内で販売されているだけではなく、米国をはじめ海外にも輸出されていることから、約1年間の構築期間を経て、認証取得に至った。認証を取得したのは同社・大阪工場、審査登録機関はテュフズードジャパン(株)。

同社・大阪工場では、1998年にISO9001、1999年にISO14001をすでに取得している。これら既存の規格に加えて、さらにSQF2000や同社菓子ユニット独自の仕組み(後述する「品質管理ルールブック」など)を、有機的に連動させながら運用・維持管理することにより、「世代を越えて愛される、安全でおいしいお菓子」を提供し続けることを目指している。

(株)明治・大阪工場がSQF2000認証取得に取り組んだきっかけについて、同社の本社・菓子ユニットの吉田照展氏(菓子品質保証部2G長)は、「以前から『きのこの山』『たけのこの里』は、米国をはじめ海外に輸出していました。2008年頃、さらなる輸出拡大を検討していたのですが、『今後、ウォルマートなどの大手流通企業では、製造業者に対してGFSI承認規格の認証取得が求められるようになる』という話を耳にするようになってきました。その当時は、日本ではまだGFSI承認規格はほとんど話題に上がっていませんでした。そのため、『取り組まない』という選択肢もあったのですが、企業としての将来を視野に入れた『特例的な取り組み』として、まずは大阪工場でGFSI承認規格に取り組むことにしました」と振り返る。

キックオフから約1年間の構築期間を経て、認証取得に至った。短期間で認証取得できた背景について、大阪工場のSQF2000構築に際してコンサルテーションを手掛けたMPアグロ(株)食品営業部・食品安全技術推進の棚町ヒロ子氏(SQF CONSULTANT)は「(株)明治の菓子ユニットでは(衛生管理や安全性確保に関する)基本ができあがっていました。例えば、一般衛生管理(PP、PRP)に関するルールなどについては、独自に開発した『品質管理ルールブック』(詳細は後述)において厳格に規定されています。そのため、工場では実施している作業を、そのままHACCPプランに落とし込めば、大きな問題もなくSQF2000認証を取得できるレベルにありました」と説明する。品質管理ルールブックには、「施設・設備」「衛生管理」「マネジメントシステム」「独自の品質保証ルール」などに関する項目が、具体的に記載されている。適宜、改訂が重ねられており、現在は第6版を使用している。最新版のルールブックでは、SQF2000で必要とされる管理項目が、すべて盛り込まれている。そして、例えば「SQF2000規格の第5・6節の第○項で要求されている項目は、品質管理ルールブックの第×項に記されている」といったように、すべての紐付けができているので、大阪工場のスタッフは、これまで(SQF2000認証取得以前)の取り組みを活かしたまま、SQF2000規格において必要な作業ができるということになる。

構築の際に留意したこととして、大阪工場の藤木博明工場長と品質保証室の中西亜美氏は、「(SQF2000に取り組む以前から)すでにISO9001と一般衛生管理は『土台』として構築されていました。そのため、現場では『新しくSQF2000という規格に取り組む』という意識にならないように配慮しました。せっかく『良い土台』ができているのに、『これから別のことをするのか?』と思われてしまうと、それらが『別物』として認識されてしまう危惧があったからです」と口を揃える。SQF2000の認証取得が目的ではなく、あくまでも「安全かつ高品質の製品を提供することが目的である」ということが、工場全体で意思統一されていることがうかがわれる(SQF2000規格は「安全性確保」と「品質管理」の双方を目的とした管理ができる規格である)。

今後の課題について、藤木工場長は「我々は、いつでも『日本の菓子事業の品質面においてトップレベルでありたい』という思いを抱いています。ISO9001やSQF2000、そして品質管理ルールブックを組み合わせて運用することには、その目標を実現するための有用なツールになり得るのではないでしょうか」と語る。さらに、製造部1室の吉岡秀一室長は「SQF2000をツールとして運用していくためには、内部監査が重要です。ただし、『書類にハンコが押されていません』といった指摘ばかりでは、システムのスパイラルアップにはつながりません。ISO9001でもSQF2000でも、決められたことを守っているだけでは進歩が止まってしまいます。常にレベルアップを図らなければなりませんが、そのためには、内部監査員のレベルを上げていかなければなりません」と語っている。



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